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セカイ系について(1)

 盆明けから3週間以上、更新を休んでました。
 TRPGでは、大きいテーマ以外に書きたいものがなく、いま始めるべきか踏ん切りがつかないまま延ばし延ばしにしていました。
 ここしばらくは仕事の勉強やほかの趣味などTRPG以外に関心が向いていたこともあり、今日はそちら方面の話を経由してTRPGの話をしようかと思います。


 きっかけは井上(仮)13歳さんから辿って、きくちさんの【日記】TYPE-MOONは「セカイ系」の終わりを告げるのか?、やまもとさんのセカイから遠く離れ……られない私、kagamiさんのFate/stay night考察 -セカイの果て-まで、とりあえず。

 『Fate/stay night』の感想について書くつもりなんですが、その前振りということで。

 世界系とセカイ系は「世界を理解できる(orできない)」という観点・価値観をフォーカスする表現技術である、と思います。ですので、まず、おおよその論点は「このような観点・価値観の当否」「表現技術としての洗練度」の2つに整理することができます。

 表現技術については、一般に流行の波があると思われます。新技術への関心は、読者・視聴者よりも製作者にモチベーションを与えますし、期間がたって作品数がそろい技術レベルが限界に近づけば、新しい表現技術へ関心を向けるのも当然でしょうから。このような点で、セカイ系の勢いが衰えつつある、というならわたしも同意します。

 つぎに、観点・価値観についてです。
 世界系は「私は世界を理解できるし、ゆえに影響力を及ぼせる。私は世界とより良く調和できる」という考え方を前提にしています。主人公のビルドゥングスロマンと、世界の発展を相似形で重ね合わせて描いているんですね。

 これに対してセカイ系は「私は世界を理解できない。私という鏡に映る世界は、歪められたセカイでしかないのだ」という考え方を前提にしています。

 もう少し簡単に言い直せば、こうなります。

 世界系においては、世界のありようは自明なので世界の変革の実行がフォーカスされるのに対し、セカイ系においては、世界のありようは自明でないのだから実行の前段階として「世界の認識」がフォーカスされます。


 ところで、セカイ系の作品でわたしが知ってるものをWikiから挙げると、エヴァ、最終兵器彼女、ブギーポップの3つになるんですが、正直に言って、物語のテーマ(フォーカスの対象)はちょっとずつ違うように見えるんですよ。

 エヴァの場合は、シンジの物語と世界の物語とのすれ違いの悲劇。シンジの性格に非難が集まりがちですが、NERVにいた誰もが自分の物語だけを追い、他者に影響を与えることを忌避していました。シンジに対して助言者(ファンタジーにおける魔法使い、賢者の役回り)となるべき大人が不在であったこと、それこそがシンジが挫折した主因だったように思えます。加持からの接触もまた遺言じみた場面に限定されたものでしたしね。

 最終兵器彼女は、最初から最後まで「戦争下における、普通の高校生の恋愛」という枠組みを維持しました。そこでは戦争という世界の問題はイベントの背景としてあるだけで、ちせ・シュウジのどちらにも世界の問題を認識する能力はありませんでしたし、その枠組みからみても不要でした。

 ブギーポップシリーズは、各話の主人公がつむぐ物語があり、シリーズの世界内背景として統和機構という巨大組織と合成人間たちの動きがあり、ブギーポップが世界外の"狂言廻し"として読者に『世界の敵』を説明しながら同時に"機械仕掛けの神"(物語のギミック)として主人公の物語に干渉している、という3つの位相をもつ構造を持っています。そしてその3つは基本的に独立していて、部分的に重なっているだけです。


 じゃあ、Fateがどれにあたるかというと、ブギーポップが一番近いのですが、「月姫世界」という物語のギミックとしての背景だけを取り上げて批評するのは、ちょっと疑問なのです。というのは、Fateにおける魔術師は、社会的な人間ではなく、『世界の敵』予備軍だからです。

 さすがに長くなってきたので、Fateの感想は次回に。
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牡牛

  • Author:牡牛
  • 物語る技術(コンセプト、シナリオ、構造、演出、表現ほか)について、分析・提案するブログ。
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     エロゲ(分析・感想)
     TRPG(プレイング技術の提案)
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