スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Fateネタバレ感想(9) -セイバールート その7-

久しぶりに更新します。

当初は1ヶ月の予定だった出張はまだ続いています。
が、忙しかったとはいえ、実質休止期間が4ヶ月を超えてしまいました。
さすがにどうにかしないとと思い、仮復活ということで。


今回はセイバールートのまとめをします。
端折った細かな検証は、以前の記事を参照下さい。

前回までの流れ
 セカイ系について (1) (2)
 Fateネタバレ感想
  序論 (0) (1) (2)
  セイバールート (3) (4) (5) (6) (7) (8)

士郎とセイバーはそれぞれに、saver(=自分が傷つくことを厭わず、他人を守ろうとする者)であろうと願っています。
しかし、saverが複数いては、「他人すべてを守りたい」という願いは叶えられません。この矛盾が、事あるたびに2人を刺激していくことになります。
そして矛盾から生じる関係崩壊を直前で止めているのが、「サーヴァントなしでは勝てない」「マスターなしでは願いを叶えられない」という制約をもうける聖杯システムです。(ちなみに聖杯については、桜ルートで語られます)


さて、こうした構造を背景に、セイバールートでは表向き、他陣営との戦いをとおして「力と正義との両立」というサブテーマが展開されます。
近接戦メインのセイバーにとって、ライダー、バーサーカー、ギルガメッシュと最もハードなカードが並べられ、その全力を逸らさずに受け止めようとして、一度は劣勢に立たされる。そして、再戦で逆転して勝つ。英雄物語(≒ジャンプ的orプロレス的)の王道の展開を、キレイに再現しています。

ところがその半ばから、士郎はもう1つの矛盾を抱えることになります。
それは「正義と他の価値との両立」というサブテーマです。

凛ルートの先取りになりますが、投影魔術の本質は「完全なる模倣」であり、転じて「他人への変身」「自分殺し」に通じます。
士郎には「投影魔術」の才能しかなく、今回の聖杯戦争で生き残るただ一つの道として、投影魔術の使用は必然でした。そしてバーサーカー戦に間に合うものは「カリバーン投影」だけでしたし、それによって巨人殺しを成功させました。

しかしそのカリバーン投影が、セイバーにある確信をもたらし、セイバーと士郎との関係に亀裂を入れます。それは「士郎がセイバーと同じタイプの英雄になりつつある」こと、「士郎がセイバーの域に追いつき、同じ挫折を味わうだろう」こと、「士郎の挫折をセイバーが望まない」ことの3点です。

士郎は「セイバーは間違っていない。だから、俺も同じ道を行こう」と信じています。
セイバーは「わたしは間違っていた。だからシロウは同じ轍を踏んではならない」と信じています。
かつての士郎と切継とのすれ違いがここで再現され、今度は生きている同士、衝突に至ったのです。

最初に挙げた「2人のsaver」の矛盾が、ここで「セイバーの正しさの是非」という形で顕在化しました。

主観の違い、認識の違い、それだけと言えばそれだけです。
しかし、ここで2人は「自分の判断の正しさ=相手の判断の過ち」を主張してしまいました。
士郎はさらに、バーサーカー戦以降の「恋愛要素」も重ね合わせて「自分と一緒に現代で生きよう」とまで言ってしまいました。

最後の敵ギルガメッシュは、この矛盾を最も効果的にえぐる存在でした。自分の判断を信じる「揺れない自我」の点で、他人の望みよりも「自分の望み」を優先する点で、いずれも彼は最強レベルだからです。

ボロボロに負かされるセイバーの姿をみてsaverの本分に立ち帰ることで、士郎はギルガメッシュの撃退になんとか成功しました。これもまた生き残るただ一つの道、必然でした。

しかし、この経過のなかで士郎は、「恋愛感情でセイバーを引き留める選択肢」の最も醜い姿をギルガメッシュに見せられることになります。
この時点をもって、ラストでの士郎の態度はおおよそ確定してしまった、と言ってよいでしょう。

セイバーの帰還に至るまでにはもう少しありますが、大きな流れではここまでで十分だと思います。(最終盤ではむしろ言峰のテーマが立ち上がり、話がぼやけてしまいますので、ここでは割愛します)


士郎とセイバーはどちらも、置かれた状況の中で最良と信じた行動をその都度とりつづけ、そのことに誇りを持ち、同時に責任を負う覚悟を持っていました。そしてその積み重ねのなかで己の矛盾に気づいたそのとき、セイバーはその過ちを認めて正しました。過ちを抱えたままに士郎と一緒に過ごす未来ではなく、士郎の行動を受けて己の在り方を変えることを選んだのです。

2人とも恋愛に不器用だった。というよりも、saverになろうとするタイプにとっては恋愛は二の次三の次なのでしょう。

恋愛に向かない2人が戦争のさなかに出会って、つかのま気持ちを通わせあうけれど、別々の道へと別れる。それはエロゲの主流たる恋愛ADVの王道からは外れるんでしょうけど、例えば恋愛小説(or青春小説)としては結構ベタなカタチの1つだろう、と思います。


次回は、物語形式の視点から、セイバールートを改めて眺める予定です。

comment

Secret

プロフィール

牡牛

  • Author:牡牛
  • 物語る技術(コンセプト、シナリオ、構造、演出、表現ほか)について、分析・提案するブログ。
    主な関心領域
     エロゲ(分析・感想)
     TRPG(プレイング技術の提案)
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。