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Fateネタバレ感想(8) -セイバールート その6-

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 セイバールート詳細解釈、中盤その3。

   「他人のために」を貫いていたはずの士郎とセイバーが、
   なぜ「エゴ」という対立軸で傷つけあわねばならなかったのでしょうか。

 この問いへの2点目の答えに向けて、まず前回では簡単にまとめていた「士郎の英雄としての台頭」、そして「投影魔術」を見ていきます。


 序盤その1で軽く触れたように、「相手をsaveしようとする2人の衝突」は早くも四日目から見られます。

  「シロウは私のマスターでしょう。
   マスターである貴方が私を庇う必要はありませんし、そんな理由もないでしょう」
  「な―――バカ言ってんな、女の子を助けるのに理由なんているもんか……!」

  「サーヴァントとして契約を交わした以上、私はシロウの剣です。
   その命に従い、敵を討ち、貴方を守る」
  「経過はどうあれ、これは俺が始めると決めた戦いだ。だから――――」
   俺の代わりに誰かが傷つくのは、違うと思う。
              (セイバールート 四日目午前『セイバー(I)』)



 けれど四日目と十四日目とを比べたとき、saver(=英雄)であろうと努力する士郎の姿勢にはあまり変化がありません。むしろ変わったのは「セイバーの認識(=士郎をどう見ているか)」の方です。

  「貴方は―――シロウは、私と似ています。だから貴方の間違いも判る。
   このまま進めばどうなってしまうかも、同じだから判ってしまう」
             (セイバールート 十二日目深夜『セイバー(Ⅲ)』)

  「―――シロウなら、解ってくれると思っていた」
              (セイバールート 十四日目夕方『橋上の別れ』)


 ここでセイバーは「私と同様に"より良いsaver"になろうとして、士郎もいつか挫折するだろう」と考えますが、この考えは「士郎は既に"saver"の1人であり、その力を更に高めるだろうことへの確信」を前提として初めて成立するのです。

 この認識の変化の根拠を「巨人(バーサーカー)殺し」の偉業とその決め手である「投影魔術」に求めるのは、ごく妥当なところでしょう。


 投影魔術によるカリバーンの再現と、カリバーンによる王の選定。中盤その1と同様にこの2つの対比もまた、士郎とセイバーとの類似を示しています。
 とりわけ今回の例であるカリバーンは、セイバーの最初の偉業を象徴するものです。「カリバーンを抜いたアルトリアと現在の士郎は、saver(=英雄)として同じレベルにある」とセイバーが認識した。こう想定することで、セイバーの行動がすっきりと説明できるようになります。



 では、続いて「投影魔術」について、特にその象徴性について考えてみましょう。

 まず考えられるのは、投影魔術の師であるアーチャーの存在です。詳細な検証は凛ルートに回しますが、その体得過程はどのルートでもほぼ共通しており、ルートの特色をそこに見出すことは難しいでしょう。

 ならばここでは「どんな宝具が投影されたのか」に注目してみます。
 凛が説明する「投影魔術の一般的な使用法」に比べて、士郎は「宝具ばかり投影している」のです。

 英雄の象徴である宝具、「貴い幻想」を再現する投影魔術、士郎の憧れるまぶしいもの。
 ルートによって「投影されたもの」が異なるならば、それらの傾向の違いが、そのルートにおける士郎の内面、とりわけ憧れや理想を推測するための有力な根拠となるはずです。

 セイバールートで投影されたものは、カリバーンとアヴァロン。どちらもセイバーが所持していた宝具です。


  「……ああもう、てんで分からないよ切嗣。
   一体さ、何をすれば正義の味方になれるんだ」
   その肝心な部分が、この五年間、ずっと掴めないままだった。
             (セイバールート 一日目深夜『鍛錬(魔術回路)』)


 士郎の憧れである正義の味方。
 その「具体的なイメージ=理想像」は、五年前の切嗣の死によって、ずっと不在のままでした。「現在の士郎」と「正義の味方=切嗣」との差が大きすぎて、次のステップ・目標を見つけられずにいたのです。

 そんな士郎にとって、セイバーの在り方は模範としてハマったのだと思います。加えてバーサーカーという切迫した難敵があり、セイバー以外の助言者として凛とアーチャーの2人がいました。セイバーという目標に向けて、このうえない速度で走る条件が揃ったのです。

 これをひとまず、「士郎の英雄としての台頭は、動機において"セイバーの存在に全面的に支えられていた"」とまとめてみます。

 それによって「投影魔術」に成功し、「巨人殺し」を成し遂げました。士郎は、セイバーと肩を並べて戦うだけの力を身につけたのです。

 ここまでの過程をもって、2つ目の答え「士郎が成長したこと」とします。


 よく似た2人が一緒にいるということが、当の2人にどんな影響を及ぼすのか。
 セイバールートでは、このトピックを「2人の英雄」という形態で、見せてくれます。


 シナリオを短絡的にまとめないためにルート上の時間軸をあちこち往復しましたが、
 「わかりやすく結論を言ってくれないまま、長文を重ねられても
  全体としてどこが重要なのか判んなくなっちゃうよ」
 と思った方も多いでしょう。
 次回で、序盤から中盤までを時間軸にそって、一度まとめるつもりです。

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牡牛

  • Author:牡牛
  • 物語る技術(コンセプト、シナリオ、構造、演出、表現ほか)について、分析・提案するブログ。
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