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Fateネタバレ感想(7) -セイバールート その5-

前回までの流れ
 セカイ系について (1) (2)
 Fateネタバレ感想
  序論 (0) (1) (2)
  セイバールート (3) (4) (5) (6)

 セイバールート詳細解釈、中盤その2。
 前回の最後に出した問い。

   「他人のために」を貫いていたはずの士郎とセイバーが、
   なぜ「エゴ」という対立軸で傷つけあわねばならなかったのでしょうか。

 これを明らかにするために、もう1ステップ考えることにします。
 前回はギルガメッシュ戦の敗北から時間軸を逆にたどってみましたが、今回はその前を考えてそこから順に追ってみましょう。


 十日目、ビル屋上でのライダー戦。ベルレフォーンから逃げられない士郎を助けるために、セイバーは聖杯を諦める覚悟でエクスカリバーを使います。これに魔力を費やしたため、セイバーは魔力不足で倒れてしまいます。

 十一日目のバーサーカー戦。凛は、士郎とセイバーを男女関係にすることで突破口を開こうとしますが、これだけではバーサーカーに対抗できませんでした。反対に凛が危機に陥ってセイバーが消滅を覚悟したとき、士郎はエクスカリバー発動を令呪でストップさせ、投影魔術を成功させます。

 ポイントだけを要約すると、およそ以下の3点です。
  ・士郎の危機に、セイバーが英雄として立ち向かい勝利を得る。
  ・難敵バーサーカーに対する、アーチャーと凛の抵抗と敗北。
   ・男女関係による突破の試みと失敗(不十分な成功)
  ・凛とセイバーの危機に、士郎が英雄として立ち向かい勝利を得る。

 この流れを、古典ファンタジーの用語から、「敵」の排除と「宝物」の獲得、と表現することが出来ます。


 さて、以上を踏まえて、最初の問いに戻りましょう。
 十二日目から十四日目夜、バーサーカー戦からギルガメッシュ戦までのインターバル。(途中のキャスター戦とギルガメッシュの登場は、前座として省きます)

 士郎とセイバーが「エゴ」という対立軸で傷つけ合うに至る第一の要件は、この期間における「敵の不在」です。そして第二の要件は、巨人(バーサーカー)殺しによる「士郎の英雄としての台頭」です。

  「今のセイバーに対抗できるサーヴァントなんて一人もいないわ」

  ブリテンを統一し、倒すべき外敵がいなくなった筈のアーサー王は、その最後に思いもかけぬ『敵』と戦う事になる。
  それは守るべき自国の軍―――腹心の裏切りによって、アーサー王は共に戦場を駆けてきた騎士たちに襲われ、これを殲滅したという。
       (セイバールート 十二日目朝『朝食作り~衛宮邸会議-ハンバーグ争奪戦』)

  「戦うな、ですか? 私に守られなければならない未熟なマスターが何を。そのような世迷言を吐くのは一人で戦えるようになってからにしてください。
   ―――ふん。まあ、そんな事は永遠に有り得ないでしょうが」
(セイバールート 十四日目夕方『橋上の別れ』)


 聖杯戦争は終わっていないけれど当面の目標が見当たらない、宙ぶらりんな空隙。そこで視界に入ってくるのは「隣にいる英雄」。誰もを救おうとして果たせず、その苦しみを抱えることで自分を鍛えるタイプの人です。

 そんな英雄が2人いて、相手の苦しみを救おうとしたらどうなるか。
 それは、相手の英雄性を否定することに他なりません。
 古人曰く、両雄並び立たず。
 英雄は、他の英雄を救えないのです。


 強敵の前では、2人は協力することが出来ました。
 しかし、平穏のなかでは敵もいないければ助けを求める第三者もいません。もっとも救うべき相手は、「英雄であろうとする自分」を目の前で否定しています。

 救えないなんて許せない。
 報われないなんて間違っている。
 そう信じるがゆえに、2人は傷つけあいます。

 十四日目、デートからの帰路。
 橋上で相手の傷を暴きあう、2人の英雄。
 共に闘い、信頼を重ね、好ましさを感じている相手からの言葉、
 言峰の切開とは比べられないほどの痛みと重みがそこにあります。

 他に救うべき対象を見つけられない、平穏な状況下。
 2人は、相手を「敵」とみなし、自分の英雄性を「自分の望み(=エゴ)」によって守らねばならなくなりました。


 長くなりましたが、ここまでが理由の1つ目、「士郎とセイバー、2人のsaver(=英雄)が同じ場所にいること」です。
 次回は、これをもう少し一般的な形式として捉えて、理由の2つ目「士郎が成長したこと」を取り上げようと思います。

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