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Fateネタバレ感想(4) -セイバールート その2-

『Fate/hollow ataraxia』発売されましたね。
わたしはこっちの感想を書き終わるまでは封印します。
早いところ書き上げるためのエサってことで。

前回までの流れ
 セカイ系について (1) (2)
 Fateネタバレ感想 (0) (1) (2) (3)

 Fateでは、どのルートでも士郎をめぐる物語とヒロインをめぐる物語が別々に存在していますが、セイバールートの序盤では、まず士郎をめぐる物語がメインとなって進んでいきます。

 召喚の翌日、四日目から2人は「シロウには戦わせない。サーヴァントはわたしが倒すから積極的に戦わせてほしい」「セイバーには戦わせない。戦わなくちゃいけないときは俺がやる」と衝突します。どちらも相手をsaveしようとするため、堂々巡りになって噛みあわないのです。
 この衝突は六日目深夜のアサシンとの戦闘後に最初のピークを迎えますが、凛のフォローを契機として、七日目からの鍛錬へと話が進んでいきます。



 七日目から始まる鍛錬は、士郎の能力面の移行期にあたります。

  「……ああもう、てんで分からないよ切嗣。
   一体さ、何をすれば正義の味方になれるんだ」
   その肝心な部分が、この五年間、ずっと掴めないままだった。
             (セイバールート、一日目深夜『鍛錬(魔術回路)』)


 切嗣は「正義の味方になる方法」として、「強化魔術」を士郎に教えました。
 しかし士郎の鍛錬は、毎晩かかさず魔術回路を一から作り直すばかりで、その先へと歩めません。七日目・八日目と、セイバーが剣を教えてそれなりに成果が出ているのに対し、凛が強化魔術を教えても「あいつ才能ないわ」という結果です。その理由は、もう少しあとで

  「俺は衛宮士郎がサーヴァントを倒している姿なんて想像できない。
   そこまで器用に自分を騙せないし、
   自分を騙して作ったイメージなんて所々にボロが出る。」
        (セイバールート 十一日目午後『白い呪眼~イリヤ(Ⅲ)』)


 と表現されるのですが、その根拠はもう少し後にとっておきます。

 ともかくも、強化と投影どちらもものに出来ない状況で士郎は、九日目のライダーとの戦闘を迎えます。士郎が持っているものは、「折れない気持ち」と未だ発見されない「理想」でありその2つによってライダーの攻撃に耐えますが、ライダーを止めることだけは出来ません。
 士郎は自分ひとりで戦おうとしていたことを間違いだったと認め、令呪でセイバーを召喚します。

  「パートナーとして、セイバーに謝るのは当然だ。
   心配させてすまなかった。
   セイバーといる限り、俺は二度と一人では戦わない」

   彼女と共に戦うと決めたのなら、
   俺は全力で、彼女を守り通せば良かったんだから――――
  「セイバーが俺を守るなら、俺もセイバーを守る。」

  「私は貴方の剣です。私以外の誰が貴方の力になるのですか、シロウ」

   出逢ってから数日経って、ようやく―――本当の契約というヤツを、俺たちは交わしていた。

           (セイバールート 九日目夜『ボーイ・ミーツ・ガール(Ⅱ)』)




 次回はセイバールート中盤です。
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Fateネタバレ感想(3) -セイバールート その1-

前回までの流れ
 セカイ系について (1) (2)
 Fateネタバレ感想 (0) (1) (2)

 今回からは、セイバールートの詳細解釈です。
 まずは、セイバーがどんな存在であるのか、から始めます。

 1つは、"セイバー"という呼び名が示すものです。
  saber(サーベル)とsaver(救い手)のダブルミーニングであり、ここでは当然ながら後者の意味で使われています。

 もう1つは、それを端的に示している以下のライダーの発言です。

  「けれど士郎。サーヴァントは自分に近いモノに喚ばれるのです。
   貴方がセイバーを召喚したのは偶然ではなく、
   その魂の有り方が近いからでしょう」
                (桜ルート、十日目深夜『ライダーの問い』)



 セイバーと士郎には、共通点があります。自分を犠牲にして他人を救おうとする正純の英雄の気質。自分を曲げない頑固さ。また、召喚の時点で道に迷っている、という弱さまで。

 しかし、迷いの内容には違いがあります。その違いは、セイバーがゴール間近にあり能力面で既に完成されているのに対して、士郎はまだスタート地点にいる、ということに由来します。

 これらの共通点と差異とに注目しながら、セイバールートを整理していきます。

Fateネタバレ感想(2) -序論 その3-

 前回、気合入れて更新する、と言ったばかりなのですが、正直に言って今回は難産でした。構造を言葉にする、というのはなかなかに難しいですね。


 セカイ系について (1) (2)
 Fateネタバレ感想 (0) (1)


 英雄と反英雄は、それぞれの神話世界においては、物語における主役と敵役という位置付けにあります。

 例えば、英雄ペルセウスは鏡の盾によって石化の呪いを防ぎ、ハルペーでメデューサの首をはね、その血から生まれたペガサスを得ました。
(参考:Wikiより メデューサ,ペガソス,ベレロポン)

 主役と敵役は、対比されることでその違いが鮮やかに浮かび上がります。それも、「あれもこれも、何もかも違う」相手とではそもそも話がかみ合わず、決定的な対立にまで至りません。共通点が多いにもかかわらず「最も大事な部分」で対立するときに、その鮮やかさが際立つのです。

 ではその場面において、プレイヤー(聞き手、読み手)が主役よりも敵役に惹かれたとしたら、どうなるのか。そのとき、敵役は主役に、主役は敵役にと物語世界が反転することになります。

 このような相対主義によって焦点があてられるのは、「どちらの価値を勝ちとするか」よりも「この対立軸を作っている思考の枠組みはなんなのか」というフレームそのものです。



 ここで少し視点を変えまして。
 わたしには「桜ルート=全体結論説」に1つの引っ掛かりがあって、ずっと納得がいきませんでした。その引っ掛かりとは、「桜ルートではセイバーを助けられない」ということです。

 このことに何かの意味があるのでは、とずっと考えていたときに、ふと上記の思考が浮かんで、

  セイバーと桜は、対比される関係になっている。
  そのために、同時に助けることが出来ない。

 という構造になっているのでは、という確信が持てました。
 そこから、セイバーと桜との対立軸を想定してみると、ライダーとの宝具対決、セイバーのクラススキル『騎乗』、といった要素が連想されます。これらをまとめるならば、わたしはこう表現します。


  セイバーは汚れなき英雄であり、
  桜はケガレにまみれた反英雄である。



 更にいえば、凛は魔術師であり、他の2人とは少し異なる位置にあるわけですが、その証明は凛ルートに回すことにしましょう。

 次回はセイバールート、以降各ルートを詳細に見ていきます。

Fate ネタバレ感想(1) -序論 その2-

前回からまた1週間ほど間が空きました。
今回から、ちょっと気合入れて更新していきます。


1、Fate全体の構成、全体結論はあるのか

 正義。
 善にカテゴライズされながら、どこか強制をともなうイメージ、権力や抑圧を感じさせる言葉。

 正義の味方。
 テレビの特撮ヒーローもの・ヒーローアニメものを除き、現在ではめったに使われることのない言葉。大人が堂々と口にするのを憚られるような、幼稚さや恥ずかしさといったニュアンスが含まれる言葉。

 士郎は、ゲーム開始時において「正義の味方になりたい」という理想を持っています。このインパクトの強い言葉が、多くのプレイヤーの頭に最初にすりこまれたことでしょう。「Fateは正義がテーマなのか」と。


 また、シナリオのルート分岐が制限されていて、セイバー→凛→桜と解除されていくのですが、この2つの根拠から、「この順番がFate全体の起承転結をなしている。よって、桜ルートが全体結論だ」という感想も見られます。
 その桜ルートがこれまた、ヒロイン桜が悪の道に走って罪を重ねるというショッキングな展開をみせたので、プレイヤーに「正義の挫折、が結論ってことなの? これじゃ納得できない、すっきり終われないよ」という感想を抱かせやすくなっています。


 わたしの結論を先に言いますと、

  Fateは拡散型の構造であり、各ルートは並列に位置付けられる。
  Fateにおいて、全体結論はありえない。

  Fateにおいて、正義の在りかたは複数あるテーマの1つにすぎない。

 となります。その説明は次回にまわしますが、基本的に表裏一対になっている概念――例えば、英雄と反英雄――に注目して、その対比を手がかりにしていく、という方法をとることになります。

Fate ネタバレ感想(0) -序論 その1-

 前々回前回と回り道しましたが、今回からFate本編の感想に入ります。

 確認も兼ねて二週間ほどかけて再プレイしていますが、細かい伏線や仕込みに改めて気づかされ、「果たしてこの解釈で良いのか」と思うことしきりで、しばらく筆が止まっていました。とはいえ、今更やめるわけにも行きませんので。何もかもを一度に語ることは出来ませんしね。



 最初に、わたしが参考にさせて頂いたレビューの紹介をします。

Fateレビュー
  ・まちばりあかね☆さんのネタバレ感想 (Pasteltown Gamers)
   (現在サーバーダウン中ですが、掲示板で行われた議論も参考にしています)
  ・kagamiさんのFate ゲーム評正規版(「好き好きおにいちゃん!」)
  ・11番目の猫さんの桜ルート解析(1)~(6) (すかいてんぷるMA Plus bbs2 Fateスレッド)
  ・のりさんのネタバレなし批評ネタバレあり批評 (臥猫堂)
  ・きつねうどんさんの指摘 (臥猫堂 掲示板 No371周辺ログ)

Fateレビュー以外の参考
  ・火塚たつやさんの『月姫』に嫉妬した私(“presented by tatuya”)

  ・ブギーポップシリーズ 上遠野浩平(WikiAmazon)
  ・京極堂シリーズ 京極夏彦(オフィシャルHP・大極宮)
  ・少年魔法士、不死者あぎと なるしまゆり(オフィシャルHP・地底探検)


 先行するこれらの記事にインスパイアされて、わたしはより深くFateを楽しめるようになりました。謹んで感謝します。また、個別3シナリオの解釈の多くはこれらの記事に負っていますが、その成果から出発して全体構造との関係を検討し、その後に個別シナリオを再解釈することでFateの全体像に近づいてみたいと思います。

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プロフィール

牡牛

  • Author:牡牛
  • 物語る技術(コンセプト、シナリオ、構造、演出、表現ほか)について、分析・提案するブログ。
    主な関心領域
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     TRPG(プレイング技術の提案)
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